今回は、「ART PIECE BAG-07【Traveler】」の解説です。

デザインベースとなったのは、所有する1930年代のL.L.Bean製Zipper Bag。
形状としてはクラシカルなボストンバッグにあたります。


ハンティングやアウトドアの印象が強い同ブランドですが、このバッグはおそらく特定の用途に特化したものではなく、多目的に使えるユーティリティな立ち位置だったと推測されます。
鉄道や自動車での移動が普及し始めた時代背景を考えると、着替えや身の回り品を詰め込んで移動する「ウィークエンダー(週末旅行用鞄)」としても重宝されていたのではないでしょうか。
サイドにはDカンを備えており、ショルダーストラップを取り付けて2WAYで使用することも想定されていたと思われます。

非常に手の込んだ作りで、中でも底面の構造には特有の意匠が感じられます。

革の使用量、一枚あたりの面積、革の取り都合を考えると、おそらく当時から大量生産には不向きなプロダクトだったはずです。
ショートハンドルと本体のサイズ感、そしてマチ幅が絶妙なバランスで構成されており、単体での佇まいもさることながら、実際に手に持った時に最も魅力が引き立つバッグだと感じています。

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そんなロマン溢れるヴィンテージバッグをベースに、LWBのフィルターを通して再構築したプロダクトがART PIECE BAG-07【Traveler】です。

サイズはヴィンテージと同等に設定しており、その名の通り2泊3日程度の小旅行にも十分対応できる容量を確保しています。
それでいて普段使いが難しいほどの過剰なサイズではないため、荷物が多い日はもちろん、「容量の安心感が欲しい」「スタイリングのアクセントとして適度なボリューム感が欲しい」という方には、デイリーユースとしてもご使用いただけます。


パーツ構成については様々なパターンを試作・検証した結果、ヴィンテージと同様の構成を採用しました。
鞄の構造は大きく分けると「マチが一周し、そこに前後の面パーツを嵌め込む仕様」と、「面のパーツが正面から底面を通り背面まで連続し、そこにマチパーツを嵌め込む仕様(硬式野球ボールのようなイメージ)」があります。
実際に試作を重ねる中で、LWBものづくりがより活きる構造だと判断し、後者を採用しました。
一枚一枚のパーツ面積が非常に広いため、革の豊かな表情を存分に堪能できるのが特徴です。
特に正面下部から底面、そして背面へとぐるっと一枚革で構成されたパーツが生み出す、革の自然な動きと膨らみは格別で、「革の取り効率が悪くなる」という生産上のデメリットを厭わないほど魅力的であり、私が大切にしているディテールのひとつです。


このシルエットを形成する上で欠かせないのが、底面のステッチワークです。
「ART PIECE BAG」のコンセプトに則り、【総手縫い】で仕立てておりますので、勿論この部分も手縫いとなります。
底面の芯材と一緒に一針一針縫い込むことで、立体的で抑揚のある仕上がりになります。


ライニング(内装)には、ディアスキン(鹿革)をフルライニングで贅沢に使用。
底面の芯材も同じくディアスキンで包み込み、取り付けしています。

底鋲はヴィンテージのデザインを落とし込んだ真鍮無垢のオリジナル底鋲を採用しました。

また、【Officer】モデルと同様、ジッパー開閉となるため、閉じた状態では中身が見えません。だからこそ、ライニングのディアスキンには遊び心のあるカラーを選んでいただくのもおすすめです。(もちろん、同系色や落ち着いたトーンでまとめるのも王道に素敵です)
ジッパーはヴィンテージと同型である「扇型の引き手」「コットンテープ」「コの字留め」の仕様を採用。ご注文時に「シングルジッパー」と「ダブルジッパー(センター留め仕様)」のいずれかをお選びいただけます。
• シングルジッパー: ヴィンテージと同様の仕様。
• ダブルジッパー(センター留め仕様): 1940年代のAVIATOR KIT BAGのディテールを採用。
【ダブルジッパー(センター留め仕様)】

【40s AVIATOR KIT BAG】

小旅行などで荷物が多くなると鞄自体も重くなりますが、ショルダーストラップを使用することで肩への負担を軽減できます。
私自身も【Traveler】を愛用していますが、普段はショルダーストラップをバッグの中に忍ばせておき、長時間の移動など必要な時だけ取り付けて使用しています。ストラップ自体はかさばらないため、こうした使い方もおすすめです。
(※ベースとなるスタイルは、あくまで「手持ちのハンドバッグ」としての美しさを追求したプロダクトとなっております)



ショルダーストラップは別売りとなりますので、必要の際は合わせてご注文ください。
レザーカラー、糸色、金具の仕上げ、ジッパースライダーの仕上げ、ジッパーテープカラーなど、好みに合わせてお選びいただけます。
詳細はPRODUCT PAGEをぜひご覧ください。
ART PIECE BAG-07【Traveler】
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ART PIECE BAG-07【Traveler】の解説は以上となります。
プロセス、考え方の部分が少しでも伝わっていたら幸いです。
