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ART PIECE BAG-07【Traveler】Development Process

今回は、「ART PIECE BAG-07【Traveler】」の解説です。

デザインベースとなったのは、所有する1930年代のL.L.Bean製Zipper Bag。
形状としてはクラシカルなボストンバッグにあたります。

ハンティングやアウトドアの印象が強い同ブランドですが、このバッグはおそらく特定の用途に特化したものではなく、多目的に使えるユーティリティな立ち位置だったと推測されます。
鉄道や自動車での移動が普及し始めた時代背景を考えると、着替えや身の回り品を詰め込んで移動する「ウィークエンダー(週末旅行用鞄)」としても重宝されていたのではないでしょうか。

サイドにはDカンを備えており、ショルダーストラップを取り付けて2WAYで使用することも想定されていたと思われます。

非常に手の込んだ作りで、中でも底面の構造には特有の意匠が感じられます。

革の使用量、一枚あたりの面積、革の取り都合を考えると、おそらく当時から大量生産には不向きなプロダクトだったはずです。

ショートハンドルと本体のサイズ感、そしてマチ幅が絶妙なバランスで構成されており、単体での佇まいもさることながら、実際に手に持った時に最も魅力が引き立つバッグだと感じています。

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そんなロマン溢れるヴィンテージバッグをベースに、LWBのフィルターを通して再構築したプロダクトがART PIECE BAG-07【Traveler】です。

ART PIECE BAG-07【Traveler】

サイズはヴィンテージと同等に設定しており、その名の通り2泊3日程度の小旅行にも十分対応できる容量を確保しています。
それでいて普段使いが難しいほどの過剰なサイズではないため、荷物が多い日はもちろん、「容量の安心感が欲しい」「スタイリングのアクセントとして適度なボリューム感が欲しい」という方には、デイリーユースとしてもご使用いただけます。

パーツ構成については様々なパターンを試作・検証した結果、ヴィンテージと同様の構成を採用しました。

鞄の構造は大きく分けると「マチが一周し、そこに前後の面パーツを嵌め込む仕様」と、「面のパーツが正面から底面を通り背面まで連続し、そこにマチパーツを嵌め込む仕様(硬式野球ボールのようなイメージ)」があります。

実際に試作を重ねる中で、LWBものづくりがより活きる構造だと判断し、後者を採用しました。

一枚一枚のパーツ面積が非常に広いため、革の豊かな表情を存分に堪能できるのが特徴です。
特に正面下部から底面、そして背面へとぐるっと一枚革で構成されたパーツが生み出す、革の自然な動きと膨らみは格別で、「革の取り効率が悪くなる」という生産上のデメリットを厭わないほど魅力的であり、私が大切にしているディテールのひとつです。


このシルエットを形成する上で欠かせないのが、底面のステッチワークです。
「ART PIECE BAG」のコンセプトに則り、【総手縫い】で仕立てておりますので、勿論この部分も手縫いとなります。
底面の芯材と一緒に一針一針縫い込むことで、立体的で抑揚のある仕上がりになります。

ライニング(内装)には、ディアスキン(鹿革)をフルライニングで贅沢に使用。
底面の芯材も同じくディアスキンで包み込み、取り付けしています。

底鋲はヴィンテージのデザインを落とし込んだ真鍮無垢のオリジナル底鋲を採用しました。

また、【Officer】モデルと同様、ジッパー開閉となるため、閉じた状態では中身が見えません。だからこそ、ライニングのディアスキンには遊び心のあるカラーを選んでいただくのもおすすめです。(もちろん、同系色や落ち着いたトーンでまとめるのも王道に素敵です)

ジッパーはヴィンテージと同型である「扇型の引き手」「コットンテープ」「コの字留め」の仕様を採用。ご注文時に「シングルジッパー」と「ダブルジッパー(センター留め仕様)」のいずれかをお選びいただけます。
• シングルジッパー: ヴィンテージと同様の仕様。
• ダブルジッパー(センター留め仕様): 1940年代のAVIATOR KIT BAGのディテールを採用。

【ダブルジッパー(センター留め仕様)】

【40s AVIATOR KIT BAG】

小旅行などで荷物が多くなると鞄自体も重くなりますが、ショルダーストラップを使用することで肩への負担を軽減できます。
私自身も【Traveler】を愛用していますが、普段はショルダーストラップをバッグの中に忍ばせておき、長時間の移動など必要な時だけ取り付けて使用しています。ストラップ自体はかさばらないため、こうした使い方もおすすめです。
(※ベースとなるスタイルは、あくまで「手持ちのハンドバッグ」としての美しさを追求したプロダクトとなっております)


ショルダーストラップは別売りとなりますので、必要の際は合わせてご注文ください。

レザーカラー、糸色、金具の仕上げ、ジッパースライダーの仕上げ、ジッパーテープカラーなど、好みに合わせてお選びいただけます。
詳細はPRODUCT PAGEをぜひご覧ください。
ART PIECE BAG-07【Traveler】

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ART PIECE BAG-07【Traveler】の解説は以上となります。
プロセス、考え方の部分が少しでも伝わっていたら幸いです。

【Vertical Tote TypeⅠ & TypeⅡ】 Development Process

今回は【Vertical Tote TypeⅠ & TypeⅡ】について解説していきます。

A4サイズの王道な縦型トートバッグで、フロントポケットと上部に留めベルトが付く「TypeⅡ」と、シンプルな「TypeⅠ」の2Typeの展開となっております。

ART PIECE BAG-02【Vertical Tote TypeⅠ】

ART PIECE BAG-03【Vertical Tote TypeⅡ】

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■ デザインのルーツ
【Vertical Tote】は、ART PIECE BAG-01【Cheval】のディテール(縁の革巻き、玉縁、ディアスキンライニング、TypeⅡのフロントポケット等)を踏襲している部分が多くあります。

【Cheval】の開発中、「トートバッグに落とし込んでも良いバランスになるだろうな。」と直感したのがファーストアイデアでした。
【Cheval】が完成し、プロダクトとして受注を開始する頃には自然とデザインも鮮明になっており、実際に本格的に着手した際には大枠のイメージが固まっていたので、その後は細部をとことん追い込み、完成に至りました。

そういった意味では、【Cheval】のベースである「1950年代頃にフランスの郵便局(PTT)で使われていたバッグ」のDNAを受け継いだモデル、とも言えるかもしれません。

■ ディアスキンのフルライニング
ライニングには、ディアスキン(鹿革)を贅沢にフルライニングで採用しており、TypeⅡにおいては、フロントポケット内や被せの裏面にまで内張りを施しました。


Vertical Toteは構造上、日常使いの中で内張りがちらりと見えるため、ライニングカラーによってバッグ全体の印象が大きく変わります。
TypeⅡでは被せの裏側もさりげなく覗きます。

同色やダークトーンで合わせれば統一感のある落ち着いた印象に、「Turkmen Red」等のカラーを入れれば差し色になります。
外側の牛革の色はもちろん、糸色や金具の仕上げなども選択可能ですので、是非こだわりの組み合わせをお楽しみください。

(内張りディアスキンカラーの一例)

■ 製作工程で生まれる「皺」
製作の都合上、バッグを裏返す工程で革に皺が入ります。

張りとコシのある革ほど皺が入りやすい傾向にありますが、我々がメインで使用している「LWB ORIGINAL LEATHER」もまた、非常に張りとコシのある革となっております。

もし「新品時の見た目を綺麗に仕立てる」ことだけを目的とするならば、おそらくこの革は選びません。しかし、LWBのものづくりの本質は全く別のところにあります。

ART PIECE BAGのコンセプトでもありますが、LWBが目指すのは「世代を越えて受け継がれ、永く愛されるもの」を創ること。
その観点から、このマテリアルを採用しています。

永く経年変化を楽しめる「一生モノ」を求める方であればご理解いただける方が多いと思いますが、生産工程によって生まれる二つとない革の表情は、寧ろポジティブに捉えております。

■ オリジナル底鋲と、底面の仕立て
底面には、ヴィンテージディテールをベースとした真鍮無垢のオリジナル底鋲を採用しております。

【Vertical Tote】のバランスに合わせ、【Officer】や【Traveler】で使用しているものより一回りサイズを小さくしています。

なお、底面には芯材を入れていません。そのため、底鋲はバッグをしっかりと自立させるためではなく、一時的に地面に置く際に革を保護する役割として取り付けています。

芯材を入れると革本来の自然な抑揚が失われてしまうため、長年愛用した先の表情を最優先に考えてこの仕様を採用しております。

■ 牛革芯のハンドル
ハンドル部分には、一般的な紐やプラスチックの芯材ではなく「牛革の芯」を使用しています。
革芯で仕立てられたハンドルは、革本来の可塑性(かそせい)を妨げることなく、使い込むほど手に馴染みます。

■ 留め具パーツの使い分け(TypeⅡ)
TypeⅡの留め具は、2種類のバックルを使い分けております。

同じように見えてそれぞれ違う動きをしますので、デザインを揃えることよりも適材適所のパーツと構造に重点を置き、採用しました。
長年使った時に違いが活きてくるかなと考えております。

■ All Hand Sewn(総手縫い)
縫製はART PIECE BAGの理念に基づき、内縫い部分も含めてすべて「総手縫い」で仕立てております。

■ 推奨カスタム
基本はTypeⅠとTypeⅡの2型展開ですが、推奨するカスタムとして、シンプルなTypeⅠに「上部の留めベルトのみ」を追加することも可能です。

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【Vertical Tote TypeⅠ & TypeⅡ】の解説は以上となります。
特にTypeⅠはデザインがシンプルな分、細部のものづくりや、本質の部分がより顕著に出るような気がしてます。
プロセスや考え方が少しでも伝わっていたら幸いです。

【Satchel TypeⅠ & TypeⅡ】Development Process

今回は【Satchel TypeⅠ & TypeⅡ】について深掘りしていきます。

LWBの【Satchel TypeⅠ & TypeⅡ】は、イギリスの伝統的な学生カバンであるサッチェルバッグをベースにしており、中でも私が所有する1960~1970年代頃の2つのヴィンテージ個体から着想を得ています。

当時のサッチェルバッグは基本的に、ショルダーストラップが直接取り付けられており、持ち手は無く、かなりシンプルなものが多い印象です。

バッグ自体の構造も、メインポケットの前面に一回り小さいポケットが配置され、さらにその前面にカードホルダーが付き、2本のベルトで留める仕様がほとんどです。
この構造こそが、サッチェルバッグの原型と言えるでしょう。

起源を辿ればローマ時代にまで遡るとも言われていますが、いわゆる私たちがイメージするサッチェルバッグの原型が確立されたのは、1950〜60年代頃だと思われます。

フロントのカードホルダーは、名札の様な物を入れるためのディテールでした。

当時、イギリスの学生カバンとして普及した際、多くの子どもたちが似たバッグを持っていたため、自分のものだと判別できるように「氏名」や「住所」「学校名」などを書いたカードを差し込んでいたそうです。

メインポケットとフロントポケットの連なるバランス、2つのバックル留め仕様、そして、使い込まれたヴィンテージならではの雰囲気。
それらが相まった美しい佇まいに惹かれ、このバッグを見たおよそ6年前(2020年頃)から、「いつか、私なりの解釈を加えたプロダクトを生み出したい」と考えておりました。

頭の引き出しにあったという点では、ART PIECE BAG-01【Cheval】よりも先に構想が始まっていたと言えるかもしれません。

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そんな歴史あるサッチェルバッグをベースに構築したプロダクトが、【Satchel TypeⅠ】、【Satchel TypeⅡ】になります。

ART PIECE BAG-04【Satchel TypeⅠ】

ART PIECE BAG-05【Satchel TypeⅡ】

マチの構造違いで2Typeの展開となります。
・所有するヴィンテージと同様の仕様を採用した「TypeⅠ」
・手縫いの技術をより活かした仕様の「TypeⅡ」
※もちろん、縫製はどちらのタイプも総手縫いの仕立てとなります。

マチの構造が異なるため、経年変化後の表情がまったく異なります。

TypeⅠは基本的にマチが内側に折れるため、横に広がるようなクセはつきません。ヴィンテージの個体を見ていただくと分かりやすいかと思います。

対してTypeⅡは、使い込んで革が馴染んでくると、外側にマチが広がるフォルムへと変化していきます。(下の写真3枚は数ヶ月使用したプロトモデル)

使えば使うほどシルエットに差が出てきますが、それぞれ良い表情になります。

また、TypeⅡのマチは手縫いでしか仕立てることのできない仕様となっています。(※異素材や柔らかい革であればミシンでも形にできるかと思います)

ただ、これは「手縫いでしか縫えないから」採用したわけではなく、あくまで「つくりたい表情を追求した結果」この形に行き着いたものです。しかし結果的に、それがの一つの魅力になっていることは間違いありません。

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ショルダーストラップは商品ページにも記載しているように、革を貼り合わせた「両銀面仕様」に仕上げています。


私自身、ウール素材のシャツやジャケットを着用している際に、革の床面(裏面)が剥き出しのバッグを使い、衣類へのダメージを痛感した経験があります。

そうした背景からも、LWBのショルダーバッグには欠かせない仕様となっています。

さらに「両銀面仕様」にするにあたり、縫製(手縫い)が必要となりますが、この部分には糸の擦れを軽減する工夫も施しています。

また、直付け仕様が標準となりますが、ショルダーストラップを取り外し出来る2WAY仕様での製作も可能です。

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ハンドル(持ち手)は有り/無しをお選びいただけます。


強度や堅牢性を持たせつつも、バッグ全体に馴染むよう設計しました。
あえて金具と革の接続部分に程よくクリアランス(隙間)を設けることで、ハンドルを使わない時には本体に極力添うよう、オフセットされるイメージでバランスを整えています。

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【Satchel TypeⅠ & TypeⅡ】の解説は以上になります。

【Officer】Development Process

今回は、ART PIECE BAG-06【Officer】について深掘りしていきます。

1940年頃、U.S.Navy(アメリカ海軍)で使用されていたL.L.Bean製のDocument Bagがデザインベースになっております。

まずはそのデザインベースとなった、所有しているヴィンテージの個体にフォーカスします。

厳密に言えば、アメリカ海軍将校(士官)が書類等を入れて使用していたバッグになります。

素材はキャンバス地となっており、ハンドル・外周の革巻き・サイドのDカンの付け根はレザーで作られております。

ヴィンテージバッグの中では実用性も兼ね備えている方で、私自身も歴史背景は勿論、物としてもとても好きなバッグです。

更にこちらの個体は、Dカン部分にネームタグが付いており、当時の使用者の情報がしっかりと読み取れます。

内容からするとこのバッグは、
オクラホマ州にある海軍航空基地ショーニーに所属する海軍少尉のG・ラルフ・レディックさんが使用していた個体ということになります。

オクラホマ州にあった「NAS Shawnee(ショーニー海軍航空基地)」は、第二次世界大戦中の1943年に開設され、終戦直後に閉鎖された、主にパイロットの基礎飛行訓練を行っていた基地です。

この情報から推測すると、
このバッグの持ち主である「レディック少尉」は、WWII期にこの基地で飛行訓練を受けていた若きパイロット候補生、あるいは新任のパイロットで、飛行計画書や教本などを入れて基地内を持ち歩いていた情景を想起させます。

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そんなロマンのあるOfficer BagをベースにLWBなりのストーリーを元に構築したプロダクトがART PIECE BAG-06【Officer】になります。

1940年代、アメリカ海軍からLWBが要請を受ける——。
「航空隊の将校が持つキャンバス製のOfficer Bagを、より堅牢で、より品格のある『オールレザー仕様』で製作せよ」

このバッグは、そんな架空の歴史的背景から着想を得たプロジェクトです。
当時の官給品には存在しなかったオールレザーのOfficer Bagを「実在したかもしれないアートピース」として具現化しました。

勿論、オールレザーで製作するにあたり細かい部分も合わせれば無数のブラッシュアップがあります。

全体のサイズは一回り小さくし、縫製は勿論ART PIECE BAGの理念に基づき総手縫いで仕立てております。

ライニングはディアスキンのフルライニング仕様。
こちらの個体はライニングをTurkmen Redのディアスキンで仕上げております。

ジッパーで開閉する仕様の為、閉めている状態では全く中身が見えないので、この様に遊び心でライニングに差し色を入れるのもおもしろいですね。

ジッパーはヴィンテージと同型である扇型の引き手に、コットンテープ、コの字留めの仕様となっており、「シングルジッパー」と「ダブルジッパー(センター留め仕様)」のいずれかをお選びいただけます。

「シングルジッパー」はヴィンテージと同様の仕様となっており、「ダブルジッパー(センター留め仕様)」は所有する40s AVIATOR KIT BAGのディテールを採用しております。

(40s AVIATOR KIT BAG)

サイドのDカンにショルダーストラップを取り付けることでショルダーバッグとしても使用可能です。

あくまでもスタイルとしてはハンドバッグがメインのプロダクトになりますので、自転車やバイクの乗車時に一時的な感覚で使用出来るようにしております。

私自身も移動は基本的にバイクが多いので、バイクで目的地に着いたらショルダーストラップを外し、丸めてバッグに収納して使用しています。

標準仕様でサイドのDカンは付いておりますが、不要の場合は無しでも製作可能です。
個人的にはあってもいいかなと思います。

底鋲にはヴィンテージデザインを落とし込み、オリジナルで製作した真鍮無垢の底鋲を採用しております。

ヴィンテージOfficer Bagの底鋲は鉄製で、外側に出るパーツ自体が2つのパーツから構成されており、本体に貫通させた2本の足を折って留める作りとなっているのですが、折った爪の部分が内側の底面に露出してしまうのが難点です。

LWBでは打ち込み式を採用し、内側底面に付くパーツをライニングと同素材のディアスキンで包み、取り付けしております。

前面の刻印は、所有している「40s N-1 Deck Jacket」のステンシルを刻印として採用しました。

サイズ感、レザーとのバランス、歴史背景的にも良い仕上がりになったと思います。

また、同書体で「L.W.B.」刻印も製作しました。
「U.S.N.」、「L.W.B.」のいずれかをお選びいただけます。

ハンドル部分に関しましては、紐やプラスチックの芯材ではなく、牛革の芯を使用しております。

革芯で作られたハンドルは可塑性を妨げることなく、使い込むほど手に馴染みます。

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ART PIECE BAG-06【Officer】の解説は以上になります。
ものづくりのプロセスの部分が少しでも伝わっていたら幸いです。

PRODUCT PAGE
ART PIECE BAG-06【Officer】

【U.S. Mail TypeⅠ & TypeⅡ】Development Process

所有しているヴィンテージのU.S. Mail BagをデザインベースにLWBの解釈で再構築しております。

サイズや縫製等、LWB流の考え方やものづくりにブラッシュアップするべき点は改良をしておりますが、私自身が非常に魅力を感じている、ヴィンテージメールバッグならではのディテール・ルールは生かし、落とし込んでおります。

そうなるとやはり、ヴィンテージメールバッグのディテールを知っていただくことが、LWBの【U.S. Mail Bag】 に対するプロセスや考え方をより深く理解していただけることに繋がるかと思いますので、今回はヴィンテージの個体に焦点を当てながら解説していきます。

ヴィンテージのメールバッグは大きく分けて3つの仕様があると認識しております。
私はその3つの仕様を独自に「TypeⅠ」「TypeⅡ」「TypeⅢ」と区別しており、それぞれ以下の特徴があります。


●TypeⅠ


・製造が1930〜1960年代頃
・ポケットが一つで内装背面側(manufacture name、製造年月が刻印されている部分)に革が当てられていない
・留めベルトとバックルを固定するリベットがそれぞれ2つずつ
・留めベルト上部のカットラインが丸い
・マチパーツが2枚構成(接続部分のリベットは2つ)
・被せパーツの取り付けが深い位置から
・ショルダーストラップがリベットで直付け(着脱不可)
・TypeⅡ、TypeⅢと比べて小さい


●TypeⅡ


・製造が1940年代前後
・ポケットが2つで内装背面側(manufacture name、製造年月が刻印されている部分)に革が当てられている
・前部のポケットに余白を持たせる為、正面にプリーツが入る
・留めベルトとバックルを固定するリベットがそれぞれ1つずつ
・留めベルト上部のカットラインが尖りのある形状
・マチパーツが3枚構成(接続部分のリベットは3つずつ)
・被せパーツの取り付けが浅い位置から
・ショルダーストラップがレバー金具で取り付け(着脱可能)
・TypeⅠと比べて大きめ


●TypeⅢ


・製造が1950〜1970年代頃
・留め具が付かない
・TypeⅠ、TypeⅡと比べて革が柔らかい
・基本的なディテールはTypeⅡと同じ


当時の資料等を確認したわけではないので、あくまで今までに私自身が見た個体のディテールをベースにした上での見解にはなりますが、この様なルール・特徴があります。

そもそも当時そういった製造年の期間や細かいディテールが記載された資料が存在していたのかどうか、ましてや今残っているかどうかは分かりませんが、存在しているのであれば見てみたいですね、、、

これらとは別に、更にサイズが大きい物もありますが、作りの部分でいうと上記の3タイプが基本になるかと思います。

また、余談ですがTypeⅡにはU.S.Navy刻印が入っており、米軍基地内で使われていたという推測もあります。

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この様なそれぞれの特徴がある中で、LWBのART PIECE BAGのデザインベースとして「TypeⅠ」と「TypeⅡ」を採用しております。

ART PIECE BAG-08【U.S. Mail TypeⅠ】

ART PIECE BAG-09【U.S. Mail TypeⅡ】

冒頭でも触れている通り、
・サイズ感を現代に合わせて少し小さくしている点
・縫製を総手縫いで仕立てている点
・裁断面の仕上げ
以上の点は改良している部分としては大きな所かと思います。

ショルダーストラップの部分はTypeⅠ・TypeⅡ共にTypeⅠの直付けリベット留めの仕様を採用しております。
そもそもショルダーのみの1WAYなので着脱出来る意味はありませんし、個人的にショルダーバッグは直付け仕様が好みです。すっきりもしていて良いですね。

その他は基本的にヴィンテージルールに従って形にしています。

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ここまではそれぞれの異なる仕様にフォーカスしてきましたが、メールバッグの最大の特徴とも言える「刻印」の部分。

ここも多少の違いはありますが基本的には統一されたディテールになります。

ヴィンテージを元にしたU.S. MAIL刻印と、ヴィンテージの書体を元にオリジナルで製作したL.W.BROTHER刻印の2パターンを採用しております。

そして、内装の刻印も重要なディテールの一つです。
manufacture name(製造元)、manufacture date(製造年月)の刻印が入ります。

それぞれの製造元の刻印が押されているのですが、BONA ALLEN製の個体が圧倒的に多いです。

様々な個体の刻印を見ているうちに気付きがあり、遊び心としてLWBの刻印にも落とし込んでおります。

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そしてショルダーストラップですが、商品ページにも記載しているように、革を貼り合わせた「両銀面仕様」に仕上げております。

また、ストラップの長さに関しましては、少し短めに設計しております。
当時の映像や写真を見ると、ストラップを極端に短くして斜め掛けではなく片掛けで使用しているシーンをよく目にします。


(雑誌『Coronet』1948年6月号より引用)


(1951年の映画『Cause for Alarm!』 より引用)

勿論、商品ページの写真を見ていただいても分かるように、この当時のストラップほど短くはありませんが、多少この写真の様なスタイル・イメージでも使用していただけるように設計しました。

ショルダーストラップの長さのご希望がある際はご注文時にお申し付けください。

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解説は以上になります。
多少脱線するところもありましたが、プロセスや考え方の部分が少しでも伝わっていたら幸いです。

PRODUCT PAGE
ART PIECE BAG-08【U.S. Mail TypeⅠ】
ART PIECE BAG-09【U.S. Mail TypeⅡ】

コバ面(貼り合わせ部分)の開きについて

数日前、TRUCKER WALLETをご愛用頂いているお客様から、
コバ面(革の貼り合わせ部分)が開いてしまったのですが、このまま使い続けて問題ありませんか?
といった趣旨のご質問を頂いたので共有させていただきます。

貼り合わせ自体は仮止め程度の接着剤を使っているので、使用していく中で曲がる部分等のコバ面が開くことがありますが、そのままご使用いただいて問題ありません。
 
勿論、ステッチを入れているので更に奥まで剥がれることはありません。

分かりやすいように“コバの開き“と表現しておりますが、正確には“接着剤の接着能力が無くなっている状態“になっています。


文字通りにコバ面の貼り合わせが開いてしまっている場合は、コバ面が閉じる方向に摘むようにして形を整えてあげてください。

接着剤等で補修することは推奨しません。

ご愛用いただく中で修理が必要になった際、修理の内容によっては貼り合わせを剥がす場合があり、完全接着の接着剤を使ってしまうと、剥がす際に革が伸びてしまったり、最悪の場合、修理不可能になるケースがあるからです。

長年の使用を想定していないものづくりでしたら完全接着が理にかなっていると思いますが、
LWBでは10年20年30年…と末永くご愛用いただけることを想定したものづくりをしております。

その為、LWBで使用する接着材は、主にゴムのり(仮接着)を採用しております。

あくまで修理が出来ることを前提としたのづくりであって、修理をすることを前提としたものづくりではないのですが、長く使えば様々な状況がありますので、予想外のこともあるかと思います。

そのような時に、極力革に負担をかけずに修理し、対応出来るものづくりであり、プロダクツでありたいと考えております。

TRUCKER WALLETの形状(カットライン)について

トラッカーウォレットをご検討頂いているお客様から、
TW-02の仕様で被せのカットラインのみをTW-00のように直線に変更することは可能ですか?
といったご質問を頂くことがあります。

(TW-00)


(TW-02)

LWBではプロダクツ一つ一つのディテールに意味を持たせている為、基本的に形状の変更等のご希望はお断りしております。

機能性、耐久性、経年変化、形状記憶等の要素を元に思考していき、その結果で構築されたデザインとなっております。

カード段の仕様となるTW-02、TW-04は、
被せ側を広くとる必要がある為、閉じた時にコイン側を全て覆う形となります。

他のモデルは被せ側が浅くなっているので影響ないのですが、コイン側と被せ側が揃っていると指を掛けにくく、開ける時に扱いづらいことがあります。

その点を考慮し、カットラインにアーチをかけることで指を掛ける部分をつくり、扱いやすくしております。


そういった思考を経て、結果として一つのデザインとなります。

今回はフォーカスしたカットラインは目に見えて分かりやすいディテールですが、実際の“思考から成るデザイン“は見た目では感じ取りにくい部分が殆どかと思います。

しかし、そういった要素が積み重なった結果として、感覚的に“良いモノ“と感じて頂ける製品や作品になるのでは、と考えております。

【RENNES】Vintage & Original Detail


左 : 1958’s Vintage Dead Stock French Army Leather Sandal Type Ⅰ
右 : L.W.B. FOOTWEAR PRODUCTS“RENNES“

1958’s French Army Leather Sandal Type Ⅰ

現在ではグルカサンダルとも呼ばれている形の一つかと思います。

当時、フランス軍に支給されていた Type Ⅰと呼ばれるこの個体の製造期間は非常に短く、1958年の1年間のみと言われています。
ソール部分に製造年の刻印が押されています。58(1958年)


Type Ⅱと呼ばれる形も存在しますが、生産年数が幅広く存在し、現存数も多い印象です。
デザインも大きく変わってきます。

Type ⅠはType Ⅱに比べて手間が掛かるので、生産されなくなった要因としては生産効率の面もあるのではと思います。

ものづくり、構造の面では、
アッパーの取り付け方が特徴的な作りとなっており、
各パーツの足をソールの中間に挟み、縫い込むことで固定しています。
この構造だとパーツの抜けによる破損がまずありません。


(左 : Vintage / 右 : RENNES)


ハードな使用にも耐えうるよう、
考えられているのが見て取れます。

アッパー部分の革同士が組み合う形で立体を形成するつくりのため、革の質や表情がダイレクトに出るのもとても魅力的な仕様です。

履き心地の面では、
サンダルというより“通気性の良い革靴の様な感覚です。


LWBのRENNESとしての落とし込みについては、大元となるアッパーの構造はそのまま採用しております。

足型に関してはヴィンテージからトレースし、少しずつ修正を重ねて、今の形状に至りました。

革厚、ソールのつくりの部分は1から見直し、歩行性を考慮しつつ、タフに履き込めること、経年変化を楽しめることを念頭に構築しております。

ものづくりの部分においては、総手縫い、総コバ磨きのプロセスで製作しております。

・総手縫い
ハンドソーンによるステッチダウン製法で、一目一目テンションをかけ、縫い上げていきます。

通常、WALLETの製作で使用するSinew糸の倍以上の太さを採用しており、この極太の糸を強いテンションで縫い上げていく為、技術も勿論ですが、力が必要な工程です。

その分、縫い上がりの表情は唯一無二のものがあります。

・総コバ磨き
革の特性として、コバ(革の断面)は水分が沁みやすく、銀面(革の表面)と比べて弱い性質があります。

 コバ磨きをすると水分の浸透を軽減することができ、単純に断面の密度が高くなるので耐久性が上がります。

工業メイドではこの部分の処理がされていない物があったりしますが、より工業メイドが主流となる革靴、レザーサンダルの界隈では特に多くある気がします。(ソールのエッジ部分ではなく、アッパーの断面の話しです。)

更にはグルカサンダルと呼ばれるような形ですと、革の断面が露出する部分が非常に多くなり、磨くとなると非常に手間の掛かる工程となります。

タンニン鞣し、染料染め、天然コバ磨きで仕上げる為、正直雨には弱いですが、丸ごと経年変化を堪能いただけます。

今回は、デザインベースとしたレザーサンダルのディテールとLWBのRENNESへの落とし込み、ブラッシュアップした部分についてでした。

【Steerhide “L.W.B. ORIGINAL LEATHER“】

我々の使用するSteerhideは特殊な加工を施す為、
供給枚数が極端に絞られます。
更に、上がってきた革を私自身の目で見て選定し
仕入れた後に、再加工を施し、一枚革の中から更に部位、繊維を見極め、裁断をしていきます。

手間のかかった皮革の為、当然コストはかなりなものですが、その点に関しては我々は覚悟を決めているので問題ではありません。

この革を使ってLWBプロダクツを世に生み出せることに
心から感謝しております。

歯痒い点があるとすれば、
オーダー数が革の供給を大幅に上回った際に
受注停止をせざるを得ない状況になってしまう点です。

その場合は、革の在庫が整うまでの期間、
既に頂いているオーダーを消化しつつ、
新作の研究、開発に時間を充てています。

しかし、これからLWBは更に成長していきますので、
対策は必要と考えております。

現在使用しているL.W.B. ORIGINAL LEATHERの
クオリティーを守ることを考えると、
新たなマテリアルを追加することでの対策が良さそうです。(勿論、追加する場合は新マテリアルにも妥協はありません)

現時点で確定していることではありませんが、
少しずつ、動いています。
この状態を構築出来れば、お互いのマテリアルに
相乗効果がありそうです。

この辺りはまた進捗がありましたら投稿&ストーリーズで
アナウンスさせていただきます。

【糸色と金具色について】

以前の投稿でウォレットのオプションについて触れましたが、今回はその中でも糸色と金具色の考え方、LWBが推奨する組み合わせについて書きます。
金具色と糸色を決めかねている方は是非参考にしてみてください。

まず、仕様を決めていくにあたっての基本的な流れですが、オプションが1番多いトラッカーウォレット(鹿紐ストラップが付くタイプ)を例にすると、以下のような流れになります。

【革色】→【糸色 & 金具色】→【鹿紐色】→【ジッパースライダー & テープカラー】→【刻印】

糸色と金具色が同タイミングなのは、この部分の組み合わせが全体の印象に大きく影響する為です。

様々な組み合わせがありますが、以下の①②③の考え方で、全体の色数を2色以内でまとめるとバランスが良いです。

①糸色と金具色を合わせる。
・Natural Sinew × Brass 


・White Sinew × Antique Nickel 


・Black Sinew × Copper Black 



②革色と糸色を合わせる。
・Rude Black or Over-Dyed Black × Black Sinew 


・Chestnut Brown × Brown Sinew
・Turkmen Red × Red Sinew
・Natural × Natural Sinew

③革色と金具色を合わせる。
・Rude Black or Over-Dyed Black × Copper Black 


・Natural × Brass

あくまで統一感という観点で推奨する組み合わせであって、これ以外がNGというわけではありません。

Natural Sinew × Brassが無難ですが、糸色をBrown Sinewにすることでカラーの統一感を残しつつ、引き締まった印象にもなります。

経年変化後の風合いを想定して、Brown Sinew × Copper Blackも使っていて楽しそうです。
長年の使用によって、逆に色調が合ってくるので、一味違った経年変化をご堪能いただけます。

差し色にRed Sinewを使うのもいいですね。

色々と解説しましたが、あくまで参考の一つにしていただき、最終的には自分自身のスタイリング、使用している姿、経年変化をイメージしてお選び頂ければと思います。

決めかねる部分、気になる点等ございましたら、メール、お電話でご相談ください。

店舗の方にはサンプルをご用意しております。
店舗にお越し頂いたお客様からは、「実際に見に来てよかった」といった声を多くいただきます。
私自身は常にこの場に居る為、お客様からの新鮮な反応は非常に貴重な物です。ありがとうございます。

是非、ご来店お待ちしております。

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【糸色/Thread Color】
・Natural Sinew
・White Sinew
・Black Sinew
・Brown Sinew
・Red Sinew
・White
・Black
・Brown
・Red
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【金具/Metal Fittings】
・Brass
・Antique Nickel
・Copper Black
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